私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

「ラストキング・オブ・スコットランド」

2007-03-13 19:05:56 | 映画(ら・わ行)


2006年度作品。アメリカ映画。
1971年、軍事クーデターにより大統領となったイディ・アミンが権力を得て以降、妄執な独裁者となり、大量虐殺という蛮行を犯していく様を、側近として仕えた、スコットランド人の青年医師の視点から描く。
監督は「ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実」のケヴィン・マクドナルド。
出演は本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィテカー。ジェームズ・マカヴォイ ら。


映画のクレジットはフォレスト・ウィテカー演じるイディ・アミンがトップに来ているが、どう見ても、主役は医者の若者である。
で、この主人公の若者がなかなかアホなのである。
アジテーションに簡単に賛同し、批評精神を持たず、欲望に忠実な彼は、全体の大きな流れに何も考えず乗ってしまい、深入りし、引き返せないところまで来ている。そしてそれにより二人の人間を死に追いやっているのだ。そういった姿は若者らしい行動ではあるが、向こう見ずで無鉄砲と言う気がした。はっきり言うと、個人的には嫌いなタイプである。
しかしそういう人間は世の中で往々にして見られるわけで、キャラにリアリティを感じる点はおもしろい。共感できるできないはともかく、人間がきっちり描かれているという印象を受ける。

イディ・アミンのキャラも際立っている。
話や行動はユーモアがあり、人を笑わせ人を引きつける。普通につきあう分には彼のようなタイプは楽しそうだろう。だが権力を持った途端の疑心暗鬼の表情がなんともこわい。本質はユーモラスな人なのだろうが、その変貌に人間の多面性を見る気がする。
そしてそれをフォレスト・ウィテカーがきっちり演じているのが目を引いた。

映画自体はオーソドックスなつくりだ。展開としては予想外というものは少なく、きれいにまとまっているという感じがする。
しかし、本作は人間の愚かな一面をあぶりだしていて、見応えはあるだろう。それもすべて人間をきっちり描いているからだ。おもしろいかはともかく、なかなかの力作である。

評価:★★★★(満点は★★★★★)


制作者・出演者の関連作品感想:
・ジェームズ・マカヴォイ出演作
 「ナルニア国物語 第一章 ライオンと魔女」
・ケリー・ワシントン出演作
 「Mr.&Mrs.スミス」

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